◆テーマ
「年末年始に注意したい 餅による窒息事故」
◆解説者
中田孝明
株式会社Smart119 代表取締役
千葉大学大学院医学研究院 救急集中治療医学 教授
https://twitter.com/Nakada119
◆解説者②
谷口昌志先生
市立ひらかた病院
小児科部長
◆監修協力
新井久美子 (救急科専門医)
横山達郎 (麻酔科/集中治療科専門医)
◆喉に詰まったときのサイン「チョークサイン」
次のような症状があるときは、異物が喉に詰まった(気道閉塞)が疑われます
・咳込んだり、苦しそうにしている
・声を出せず、喉をつかむ動作をする(窒息のサイン(チョークサイン) )
・顔色が悪い
◆餅を詰まらせたときのポイント
・声が出せず、咳込みもできない状況なら「窒息」と考え、異物除去を行います
・周囲に人がいたら、119番要請、AEDの用意の依頼を!
・119番要請を行ったら、待っている間に背部叩打法等を行いましょう
・意識を失ったり、呼吸が止まった場合には、背部叩打法等こだわらず胸骨圧迫に切り替えましょう
◆背部叩打法
※背中を強く叩いて、詰まった物を吐き出させる方法です
①患者さんの後ろに回って、利き手でない方の手で顎を支える
②もう一方の手の平の付け根で、左右の肩甲骨の間を力強く何度も叩く
(※妊娠している女性も背部叩打法が優先)
◆乳児の場合の背部叩打法
①救助者の利き手でない方の腕に乳児をうつぶせに乗せて、手のひらで乳児の顎を支えつつ頭を身体よりも低く保つ
②もう一方の手にひらの付け根で、背中の真ん中を数回強く叩く
◆腹部突き上げ法
※相手の上腹部を手前上方に強く突き上げて、のどに詰まった餅を取り除く方法です
①相手の後ろに回り、両方の手を脇から通し、腹部に手を回します
②一方の手を握りこぶしを作り、その親指側をヘソより少し上に当てます
③その握りこぶしをもう一方の手で握り、すばやく手前上方に向かって圧迫するように突き上げます
◆餅を食べる時の豆知識
・小さく切る、柔らかくする
・お茶、水などの水分を摂りながら食べる
・食べ物を丸のみしがちな3歳未満には食べさせない
・取り出せないときに救助者がのどに手を突っ込むのは禁忌です
子供の場合でも、指をかみちぎられる恐れがあります
・子供、高齢者が食べる際は、目を離さない
◆「お餅」は口の中に残りやすく、窒息しやすい食べ物の一つです
楽しいお正月のはずが、窒息により事故になってしまうこともあるので、お餅を食べる時には注意を払いましょう
◆情報元
厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-10-001.html
消費者庁
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/release/pdf/consumer_safety_cms204_20201223_01.pdf
東京消防庁
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/hp-honjyo/bousai/chissoku.pdf
日本医師会
https://www.med.or.jp/99/kido.html