株式会社Smart119|安心できる未来医療を創造する

千葉大学発医療スタートアップ企業である株式会社Smart119(本社:千葉県千葉市、代表取締役社長/CEO:中田孝明)は、応募していた令和4年度「千葉県医療機器等開発支援補助事業」に採択され、千葉大学大学院医学研究院救急集中治療医学、千葉大学フロンティア医工学センターとの共同研究により、世界的にニーズが高まっているCRT(Capillary Refill Time:毛細血管再充満時間)測定装置の試作機の開発および生産に取り組むことを発表いたします。

高齢化が進展している日本では、細菌やウイルスへの過剰反応から多臓器不全に至る「敗血症」患者が、高齢者を中心に急増しています。2010年のデータでは、国内の全入院患者のうち敗血症患者が占める割合は3%でしたが、2017年には5%に増加。世界的にも死者数が増え続けており、世界保健機関(WHO)は敗血症を「国際的に重大な健康課題」として認定(2017年)し、公衆衛生対策、高齢者医療などの強化を促しています。

crt01.jpg敗血症患者は増加傾向/出典:Imaeda and Nakada et al. Crit Care.

敗血症が重症化してショック症状を呈した場合、血圧が急低下するなど組織の灌流(循環)が減少するため、抗菌薬の投与や輸液、血圧を上昇させる薬を投与するなどの治療が施されます。この際、灌流の程度を示す指標として、「国際敗血症ガイドライン2021」ではCRT(毛細血管再充満)の活用が新たに推奨項目として追加されています。

CRTは、爪床を5秒間圧迫して離した際に、血液が再充満して指先に赤みが回復するまでの時間を指し、2秒以上経過しても赤みが戻らない場合は体内で循環不全が起きていると判断され、トリアージ(治療優先度の決定)において「最優先治療群」と判定されます。外傷による出血性ショックの際にも輸液療法の指標として用いられるなど、末梢循環不全の指標として救急医療現場で重宝されていますが、現状では、「目視」による測定に頼っているため、判定の不正確さが課題とされていたことに加え、以前までは、爪床を圧迫する力や時間などの測定条件の標準化すら行われていませんでした。

crt02.jpgCRTは、指の爪床を圧迫して離した後、指先に血液が再充満して赤みが回復するまでの時間。

敗血症患者の増加に伴いCRTの測定ニーズが世界的に高まっているものの、測定装置が市販化されていない現状に注目し、株式会社Smart119は、かねてより日本医療研究開発機構(AMED)の「先進的医療機器・システム等技術開発事業」において同装置の研究開発を進めてきた千葉大学大学院医学研究院救急集中治療医学、千葉大学フロンティア医工学センターと連携し、CRTを正確に測定できる携帯型装置の開発に取り組むこととしました。携帯型装置の試作機および実装予定のアルゴリズムはすでに開発が終了し、必要な測定標準条件も明確化。現在は、試作機の性能および効果を測定するためのテストを実施しています。今後は治験データを集積し、それをもとに機器の精度を高め、将来的には医療機器として市販化することを目指します。

crt03.jpg開発した携帯型装置試作機。

弊社代表取締役社長CEO・中田孝明は「CRT測定装置は、救急・集中治療・災害の現場で多くのニーズがあります。今後も開発を継続して、現場への提供を目指していきたいと思います」と、敗血症の医療現場で高まるCRT装置への求めに応えるため、製品化に向けて意気込みます。

株式会社Smart119は一人でも多くの患者の命を守るため、最先端のIT・AI技術を駆使して、デジタル化が大きく遅れている救急・医療現場の改善に今後も取り組んでいきます。

♦令和4年度千葉県医療機器等開発支援補助事業について
【公募終了】令和4年度千葉県医療機器等開発支援補助事業について/千葉県 (chiba.lg.jp)

 

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